上がり続ける日経平均。実体経済を無視して果たしてこのままいくのか疑問を持つ投資家は増え始めています。歴史は繰り返す、ずっと上がり続ける相場は今までありません。今回は過去の歴史も踏まえて、日経平均が下がる予想(理由)を集めてみました。
記事執筆時での日経平均の値は、2021年1月26日 28,822円 となっております。
今回も前回と同様にケースに分けて説明していきたいと思います。
ケース1 官製相場
日本だけに限らず世界の現状は、政府主導で大量の資金を中央銀行からばらまいています。それにより生じたコロナバブルの見方が強い現在は官製相場といえるでしょう。よってこのばらまきが続く限りコロナバブルが続く可能性があります。逆に金融緩和が終わりを告げるときこのバブルも崩壊するでしょう。コロナ終息サインが見え始め、日本も含め各国政府が引き締め出した時がタイミングとなります。
ケース2 100年前の繰り返し(スペイン風邪~世界大恐慌)
よく相場は〇年単位で繰り返すといいますが、今回のケースによく似たものは約100年前にありました。スペイン風邪は1918年に猛威を奮い、日本でも大流行し当時の日本人口比率でなんと約43%の人が感染したといわれている。世界のGDPは約3分の1にまで減少したが、その後に起こった自動車バルブが株価をけん引し、1929年の世界大恐慌まで続いたとされる。今回は、アマゾンやグーグルなどITを中心としたメディアが株価をけん引しました。そこが崩れる時が前兆かもしれません。
ケース3 コロナワクチン
ワクチンの普及により、コロナ終息の目途が立てば、経済は元に戻るとの観点より、政府や日銀の救済措置が終わり、資金インフレも終わるというもの。コロナバブルはコロナが原因。それが終わればバブルも終わります。ワクチンの成功の可否は
・ワクチン接種が誰でも受けれる段階(場所、人員、在庫も含め)になった時
・ワクチンの効果が認められ、感染者数の大幅な減少が見られた時
・経済統計の好転が見られた終息のシナリオが見え始めた時
になります。その後各国政府が金融政策を終了し、通常の経済へと移行します。
ケース4 丑のつまずき
2021年は丑年になります。この丑年は株式市場ではあまり良い干支ではないようです。相場においての丑の格言は「つまずき」を暗示するようで、12年前の2009年はというと2008年9月発端のリーマンショックの影響がまだ響いており、株価は最悪でした。戦後からの数字を見てみても過去6回で3勝3敗。沸騰率は12干支で最悪のマイナス6.3%となっています。
ケース5 日銀の買い入れ
直接的にすぐの要因にはなりませんが、日本の様に中央銀行が大量に自国の株式を買い続けているのは日本だけと言われています。実際この力は資金的にも心理的にも投資家に強気の影響を与えることは確かです。ですが、デメリットもあります。株式市場は本来は企業業績に伴い株価が上下し、業績不振が続けば市場からの退出を余儀なくなれます。ですが、実際入れ替えがおき、それが新陳代謝となり市場の活性化へとつながっていきます。日銀の買い入れはこの動きを損ねる可能性があり日本の市場の動きを内側から徐々に駄目にしていっている可能性も否めません。気づいたときは既に遅い状態になっているかもしれません。どこかで手を打たないといけませんが、未だに買い続けています。
ケース6 担保証券市場の破綻
リーマンショックの過ちを繰り返すこと。以前は社債やCP(コマーシャルペーパー)を組成した証券が出ました。CDO(債務担保証券)などがバブルを作り破綻。リーマンショックが起きた。現在では、似たような仕組みのCLO(ローン担保証券)が広がっています。世界全体で約80兆円規模にもなるそうで、日本はなんと20%弱にもあたる約13兆円をもっているといわれております。格付けされているので信用があるようですが、価値がなくなる点で危険であるといえます。実際原油価格の暴落により関係会社のCPや社債などが破綻して、日本でも関連CLOを買っていいた金融機関が約5000億にも上る負債ができたとも言われています。
ケース7 オリンピック中止
オリンピック中止による経済への波及効果。オリンピック中止が叫ばれていますが、実際にコロナがひどいところは予選もできないような状況でしょう。中止の可能性も見えてきました。中止になると予定されていた収入の目途がなくなります。実際には、観戦者や来日外国人による宿泊や飲食(またそれによる雇用)などの経済効果が大きく、期待していた収入がなくなります。また選手村や建造物などの不動産の価値も下がるでしょう。オリンピックでの経済効果への期待がなくなり企業業績予測にも悪影響を及ぼすことが予想されます。
ケース8 債務超過
コロナ終息前に各国中央銀行の限界がくるかもしれません。中央銀行も無制限に債務を増やせるわけではありません。ばらまきによる施策は国や国民の借金となっていきます。あの中国でさえ大きな債務を抱える状態です。いつの日か終わりが来ます。コロナ終息まで耐えることができるか。耐えられなかった場合は日本だけではなく、まさに世界の史上最悪の事態になるかもしれません。財政破綻は中々遠い言葉でしたが、すぐ近くまできていて、市場参加者の態度が何かのタイミングで変わった時に起こりえます。どこかの小さな財政破綻がきっかけになるかもしれません。
ケース9 好材料出尽くし
個別株にも言えることだが、上げる材料が出尽くした場合です。大きな材料としては、
・各国中央銀行の大規模金融緩和
・ワクチン関連ニュース
・GDPをはじめとする各指標の持ち直し
・企業の好決算
・アメリカ大統領選挙
など株価を動かす大きなイベントが一通り終わると買える材料がないので、バブル崩壊も近いといえるでしょう。
以上、まだまだ探せばあると思いますが、9個のケースに分けて挙げてみました。
数年前に株を始めた方などにとっては、学んだ大前提が通用しない市場を経験しているのかもしれません。今回の暴騰で億り人になりセミリタイアした人もいると聞きますが、逆に資産を失った方もいると聞きます。基本株式市場は企業の業績が上がれば皆が得をする形も築けなくはないですが、業績を伴わない相場は、ゼロサムゲームに近い投機市場になります。崩壊は来ると思います。不安な方は業績相場に戻るまで手を出さないのも投資方法の一つだと思います。
何年に一度、十数年に一度、100年に一度ともいわれている稀有な相場。果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか。
<クレジット>
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