日経平均は何故上がり続けるのか(コロナショック)

コロナショックが起き、世界中でロックダウン発生、増え続ける感染者、収束がまだ見えない、実体経済がコロナ前の基準まで回復しきれていない中、何故日経平均が上がり続けるのか。しかもコロナショック直前の高値を超えてまで。その理由をいろいろな角度から調べてみました。

調査期間は、2020年12月14日までです。日経平均は12月14日時点で、26,732円となっております。
コロナ暴落前直前値(2020年2月21日(金)):23,386円
コロナ暴落後最安値(2020年3月19日(木)):16,552円
現調査時終値ベース(2020年12月14日(月)):26,732円
コロナ暴落前直前値→コロナ暴落後最安値 差分6,834円で30%下落
コロナ暴落後最安値→現調査時終値ベース 差分10,180円で61%上昇
コロナ暴落前直前値→現調査時終値ベース 差分3,346円で14%上昇
となり、コロナ暴落後からは61%も上昇、さらにコロナ暴落前から比べても14%上昇しています。
日経平均の値を見ますと26,238円あたりをつけたのは、約30年前の1991年4月頃バブル経済が崩壊した年あたりまで値を戻しています。

理由は多々、様々いわれております。こちらではケースを分けて説明していきたいと思います。

ケース1 金融緩和政策からの株価維持

景気が悪いと各国中央銀行が大規模な金融緩和を行います。今回のコロナショックも例外ではなく、様々な金融緩和が行われます。その規模は今も増え続けています。不況下の株高との言葉もある通り、金融緩和による余った資金が株式に流れ込み株高になる傾向にあります。またそれが市場心理を誘います。
金融緩和→株高→強気な株高で投資家心理も改善→まだまだ続く金融緩和で株は当面下がらない→買いが続く→その間に企業業績が追いつく→株価維持
の流れを期待した買いが入っているのかもしれません。

ケース2 コロナワクチン相場

各国がしのぎを削って開発を続けるコロナワクチン。コロナワクチンの開発経過やイギリス、ロシア、カナダ、アメリカなどぞくぞくとワクチン接種を開始したのをうけ、感染収束による経済活動の本格的な再開への期待で、売られていた銘柄に買いが入るなどして指数の底上げにつながる。

ケース3 アメリカ大統領選挙

ジンクス。アメリカ大統領選挙の年は株価が上がるというもの。
(ダウにつられる日経平均の構図が前提)
実際、過去18回中13回株価が上がっている。70%以上の確率。今回はバイデン氏当選(まだ決まっていませんが)で下がるといわれていたが、実際は上がって見せました。バイデン氏当選による経済への影響が少ないとみている投資家が多いことが伺えます。ただ実際新政権が誕生するのが2021年となるため、影響は2020年までとの見方も強い。

ケース4 資産インフレ

大規模な金融緩和の際に起きる資産インフレ。今回も例外ではありません。リーマンショック以上の金融緩和になるとのことで、資産インフレも当然のことながら起こるでしょう。
資産インフレによる株価上昇、金融緩和によるドル安
の構図になっています。物価的にはデフレの流れにあるので、物の投資にいきにくい形になり、結果的に資産市場に資金が流れている様子、実体経済からかけはなれた価格の形成となっている。

ケース5 日銀による買い

日本銀行は、日本株のETF(上場投資信託)を買っています。その額は年間12兆円にも及びます。買い付け額の累積は約35兆円くらい。売りは無しで買い続けています。
2011年度から始まったこの政策は、どんどん増えていき、年間3兆円→年間6兆円→となり、コロナショックで年間12兆円まで拡大されています。

ケース6 海外投資家

実は日本の株価は日本人が動かしているわけではありません。大きなウェイトを占めるのは海外投資家です。その割合は一部上場企業に対する株式の7割を占めています。日本の投資家や日銀による買い支えがあってもこの大きな波が一気に動いたら敵いません。コロナショックで安くなっているが、信用のある日本株、また日経先物との連動からの利得も狙い株価の上昇につながりました。日経平均は上位銘柄の動きに左右されてます。2,3銘柄を上げるだけで日経を100円以上動かすことができるので、先物と合わせて利益が狙いやすい形となり、海外勢のまとまった動きで左右されてしまうのが現状です。また、コロナショック前の高値を更新しているのはアメリカ、日本、韓国などごく一部でヨーロッパなどの指数はコロナ前の水準もしくはそれ以下で推移していることも見て取れます。

ケース7 日経平均構成銘柄

日経平均ですが、その値は、構成される銘柄の株価の平均で算出されます。つまり株価の高い銘柄ほど影響力が高くなります。実際ファーストリテイリングが約11%、ソフトバンクグループが約6%など上位5銘柄で約25%も占めております。よって銘柄に集中して投資をすることで日経平均を動かすことができます。値上がり銘柄数<値上がり銘柄数でも日経平均は上がるという構図が出来上がりますので、素直に景気を判断する数値とは言えがたいです。また構成銘柄上位10社に情報通信、電気機器、機械、化学などそのほとんどがコロナ状況下(Withコロナ)でダメージが少なく、将来を期待される企業(売り上げが伸びる)で埋め尽くされています。

ケース8 コロナバブル

もちろん景気のバブルではなく、日経平均においての意味合いになります。コロナ前の2020年はいつバブルが崩壊してもおかしくないといわれておりました。2020年バブル崩壊といくつも説が出ていたぐらいです。天井といわれていた株価が今や全くの逆状態で高値更新となっています。もちろんこの崩壊寸前の動きを救ったのが皮肉にもコロナショックによる大規模金融緩和政策になります。バブルには短期、中期、長期とあるようですが、コロナショックによる金融緩和は短期はもちろん、中期バブルまで影響を及ぼし始めています。崩壊予定のバブルを立て直した。リーマンショック以上の金融政策。そのバブルはさらに膨張し崩壊の規模を大きくするかもしれません。

ケース9 空売り

空売りによる買戻し。コロナショックで落ちた時にもっと落ちると思った投資家による空売りの買戻し。予想以上に買い圧力がすごく売り方が耐えられなかった。買戻しが続くので買いを呼ぶ展開となり上がり続ける結果となった。が実際はこちらの影響は一時的であったと思います。

以上まだまだ、探せばあると思いますが、9個のケースに分けて挙げてみました。

一番大きなウェイトはやはり世界の金融緩和政策かと思います。日銀、FRB(連邦準備制度)、ECB(欧州中央銀行)、中国政府などが相次ぎ継続的な金融政策を発表しています。
この金融政策が続く限り、株価は上がり続けるのか。資金を経済からではなく株価市場から作り出している話もあるくらいです。
注意しておきたいのが、
・今の指標は必ずしも実体経済を反映しているものではない。
・膨れ上がったバブルは必ず崩壊する。

ということかもしれません。


備えあれば憂いなし。ずっと上がり続けるわけではないことを念頭において投資に臨みましょう。

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