史上初の無観客開催で行われた東京2020オリンピック。
開催直前まで中止の声が囁かれましたが、結果は日本史上最多の金メダル及び総メダル数を更新するなど色々な意味での記念すべき大会となりました。
しかしコロナの脅威はぬぐえず、開催の是非は様々な意見と見方があり現時点では判断できかねることかと思います。
当方では、
2021年3月10日に東京オリンピック開催で見直し買い 関連銘柄20選
として、もし東京オリンピックが開催されたら見直し買いが入る可能性がある20選をまとめてありました。今回はその20銘柄が実際どうなったのか見ていきたいと思います。
ギリギリまで中止の可能性があり、さらに無観客開催となった東京2020オリンピック。株価に対する大きな影響はあったのでしょうか?
起点日は、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長がBBCのインタビューで、大会の開催は「100%」確実だと述べた日(外国の選手団が初めて来日した近辺)の2021年6月3日
終点日は、東京オリンピック開催日の2021年7月23日(23日は祝日のため21日)
として起点日から終点日を見た時の終値騰落率で比べていきます。
(チャートは2021年8月25日時点のものとなります。)
通常の見方であればオリンピック開催前が一つの売り(買戻し)ポイントとなるのですが、今回は開催さえ分からない状態だったので、このような短期間の起点と終点ポイントとしました。
比較で日経平均の騰落率と比べて状況的にどうだったのかも併せて見ていくことにします。
日経平均は
2021年6月3日終値29058円
2021年7月21日終値27548円
騰落率6%の下落
となります。
それでは見ていきましょう。
目次
ソースネクスト(株) 4344
2021年6月3日終値311円
2021年7月21日終値300円
騰落率4%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
自動翻訳機「ポケトーク」やサイバーセキュリティ関係で期待された。
ちなみに8月16日に落ちているのは、業績下方修正の影響によるもの。
ヒビノ(株) 2469
2021年6月3日終値1593円
2021年7月21日終値1385円
騰落率13%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
コンサート、放送局等の音響・映像サービス提供するイベント関連株だが、無観客開催のため恩恵が少なかったのが影響したか。
(株)電通グループ 4324
2021年6月3日終値3885円
2021年7月21日終値3805円
騰落率2%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
2018年~2024年までのアジアにおけるオリンピックの放映権を獲得している広告代理店最大手。ちなみに8月12日近辺の高騰は黒字転換見通しによるもの。
ミズノ(株) 8022
2021年6月3日終値2314円
2021年7月21日終値2501円
騰落率8%の上昇
(日経平均騰落率6%の下落)
オリンピック開催、日本選手の活躍期待によりスポーツ関連製品の売り上げ増加を見込んだか。
(株)スカパーJSATホールディングス 9412
2021年6月3日終値425円
2021年7月21日終値413円
騰落率3%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
CS放送「スカパー!」を提供している会社。無観客開催の本命に近い位置にいるかと思ったが、すでに織り込み済みだったか。
(株)サニーサイドアップグループ 2180
2021年6月3日終値822円
2021年7月21日終値723円
騰落率13%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
企業PRや販促支援主力。スポーツビジネスにも強み。6月9日10日あたりに上昇。オリンピック期待上げと思いきや、それ以上の反発で株価は急降下。
(株)オリエンタルランド 4661
2021年6月3日終値16905円
2021年7月21日終値15335円
騰落率9%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
東京ディズニーランド・シー、ホテル、商業施設の運営。無観客開催の決定より同社株価へのプラスの影響がないと判断されたか。
アサヒグループホールディングス(株) 2502
2021年6月3日終値5438円
2021年7月21日終値4962円
騰落率9%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
ビール類国内シェア首位。総合酒類・飲料メーカー。無観客開催の決定より流動する外国人観光客の増加が見込めないと判断されたか。
(株)帝国ホテル 9708
2021年6月3日終値1985円
2021年7月21日終値1835円
騰落率8%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
高級シティホテルの展開。不動産賃貸が安定とした収益。無観客開催により、外国人観光客の流入は少ないと判断されたか。
空港施設(株) 8864
2021年6月3日終値646円
2021年7月21日終値571円
騰落率12%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
羽田、伊丹中心に全国12空港で施設を運営・賃貸。無観客開催により、株価への期待は薄れる。6月9日前後は仕掛けられたか。
東日本旅客鉄道(株) 9020
2021年6月3日終値8421円
2021年7月21日終値7470円
騰落率11%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
鉄道最大手。首都圏・東日本が地盤。無観客開催が決まりプラスの影響はない判断か。尚6月3日近辺の上げは、レーティングが強気に据え置かれたための様子。
ALSOK 2331
2021年6月3日終値4990円
2021年7月21日終値5140円
騰落率3%の上昇
(日経平均騰落率6%の下落)
警備サービス2位。金融機関向けに強み。無観客開催でも警備への需要はあったか。株価は好決算からの好影響も受けた様子。
(株)エアトリ 6191
2021年6月3日終値2875円
2021年7月21日終値2542円
騰落率12%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
航空券のインターネット販売。格安航空券で他社との差別化を狙う。無観客開催決定により利用客の伸びも少ないと判断されたか。
(株)東京ドーム 9681
2021年4月23日に上場廃止。三井不動産の株式公開買い付け(TOB)が成立し、同社の完全子会社化。
(株)翻訳センター 2483
2021年6月3日終値1499円
2021年7月21日終値1493円
騰落率はほぼ0%(0.5%の下落)
(日経平均騰落率6%の下落)
大手翻訳会社。通訳事業には買収子会社で本格進出。オリンピック開催の影響はほぼなかった様子。業績は好調で決算は上方修正。
ソニー(株) 6758
2021年6月3日終値10855円
2021年7月21日終値10905円
騰落率はほぼ0%(0.4%の上昇)
(日経平均騰落率6%の下落)
AV機器大手。海外でブランド力絶大。こちらもオリンピック開催の影響はほぼなかった様子。コロナ禍の巣ごもり消費銘柄で依然人気は高い様子。
トヨタ自動車(株) 7203
2021年6月3日終値9790円
2021年7月21日終値9725円
騰落率はほぼ0%(0.7%の下落)
(日経平均騰落率6%の下落)
「ワールドワイドオリンピックパートナー」であるTOYOTA。開催の影響は受けず。8月19日近辺の下げは減産発表によるもの。
(株)コーセー 4922
2021年6月3日終値17930円
2021年7月21日終値17990円
騰落率はほぼ0%(0.3%の下落)
(日経平均騰落率6%の下落)
化粧品大手。百貨店からコンビニまで広く展開。開催の影響は受けず。8月2日の下げは業績の回復遅れに伴う失望売りの様子。
第一カッター興業(株) 1716
2021年6月3日終値1372円
2021年7月21日終値1341円
騰落率3%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
ダイヤモンドを使ってコンクリートなどを遮断したり穴をあけたりして解体する事業を展開する企業。連結子会社において、不正な資金流用があった様子で株価は底値圏を推移。
大和自動車交通(株) 9082
2021年6月3日終値819円
2021年7月21日終値805円
騰落率2%の下落
(日経平均騰落率6%の下落)
東京都内大手のハイヤー・タクシー会社。無観客開催決定による収益の期待を失う。決算予想は赤字転換予測。
まとめ
以上、20銘柄を振り返ってみました。
まとめるとこちらになります。
・下落した銘柄
13%の下落 ヒビノ(株) 2469
13%の下落 (株)サニーサイドアップグループ 2180
12%の下落 空港施設(株) 8864
12%の下落 (株)エアトリ 6191
11%の下落 東日本旅客鉄道(株) 9020
9%の下落 (株)オリエンタルランド 4661
9%の下落 アサヒグループホールディングス(株) 2502
8%の下落 (株)帝国ホテル 9708
4%の下落 ソースネクスト(株) 4344
3%の下落 (株)スカパーJSATホールディングス 9412
3%の下落 第一カッター興業(株) 1716
2%の下落 (株)電通グループ 4324
2%の下落 大和自動車交通(株) 9082
・ほぼ変わらなかった銘柄
(0.4%の上昇)ソニー(株) 6758
(0.7%の下落)トヨタ自動車(株) 7203
(0.5%の下落)(株)翻訳センター 2483
(0.3%の下落)(株)コーセー 4922
・上昇した銘柄
8%の上昇 ミズノ(株) 8022
3%の上昇 ALSOK 2331
圧倒的に下落の銘柄が多いです。やはり無観客となった場合に直接的に収益が見込めない鉄道や、航空、ホテルなど分かりやすい銘柄で下落率が多い形になりました。
指標の日経平均が下がっているので、それにつられた銘柄も多いかもしれません。
ほぼ変わらなかった銘柄では、好決算の予測が立っていたところやコロナ禍でも強いソニーなど持ちこたえた印象です。
またたった2つしかなかった上昇銘柄。
無観客でも需要がある警備のALSOK。無観客でも関係がない選手の活躍によるスポーツ用品の伸びが予測されたミズノが上がった形になりました。
この二つは次回でも役立つデータになるかと思います。
以上、東京オリンピック開催で見直し買い 関連銘柄20選を振り返ってみました。
<クレジット>
写真AC qwuさん